こんにちは。
5月はあっという間に過ぎ、もう6月に入ってしまいました。パリは例年になくいいお天気で、毎日初夏のような爽やかさ。カフェテラスはいつも夏の陽気を楽しむ人々でいっぱいです。でも、そろそろ各地で水不足の心配が。いつまでも晴れていて欲しい気分ですが、どうなることやら..。
***********************************
パリの吉井画廊で、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)が描いた「ユビュおやじの世界」という展覧会を開催中だ。ジョルジュ・ルオーと言えば、「ミセレーレ」や「悪の華」「受難」といったキリスト教的な題材が有名ではあるが、私はサーカスの道化師や踊り子、娼婦などを描いた作品も好きだ。これらの絵を見ていると、絶望と生きる力のようなものが交錯しているのが見て取れ、人々の悲しみや怒りが伝わり、ひとりの画家の愛情ある鋭くも優しいまなざしが胸に響いてくるのである。私はふと自分の心が晴れないとき、これらの絵を見ると不思議に勇気づけられる。
「ユビュのおやじ」を主人公とした絵をルオーに依頼したのは、セザンヌやルノワールらを抱えていた大画商のヴォラールだ。ヴォラールは自分が書いた本の挿絵として、ルオーにユビュおやじを描かせようとし、交換条件としてルオーが長年切望してきた版画集「ミセレーレ」の出版を約束。ルオーは思いのほか、このユビュおやじに没頭。ルオーはヴォラールから依頼された黒人や幻想的な動物を墨絵で自由な筆遣いで描き、後のルオーの作品に大きく影響を与えていったと改めて再評価されている。
会期は実は6月6日まで。ブログに掲載するのが遅くなってしまったのが残念だが、私はこの展覧会をオープニングから3回も鑑賞しに行った。色遣いやタッチも含め、やはりルオーにしか描けない素晴らしいシリーズだな〜と見入ってしまった。
“Au Pays du Pere Ubu” Georges ROUAULT
Galerie YOSHII 6/6まで
8 Av. Matignon 75008 Paris
tel:01-43-59-73-46
人気ブログランキングへ
ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。