ブログトップ | ログイン

粟野真理子のパリおしゃれ通信

mmemariko.exblog.jp

カテゴリ:美術散歩( 29 )

コンテンポラリー・ギャラリー「Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art」

こんにちは。

みなさま、お元気でしょうか?

私は7月末にパリから帰国して、ずっとバタバタしていたのですが、お盆が終わってから、夏の疲れが出たのでしょうか、ちょっとダウンしていました。


最近は日本にいる時間も多くなったので、日本の現代アート事情に興味を持ち、
以前に展覧会でおじゃました八丁堀にあるコンテンポラリー・ギャラリー「Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art」のオーナー、夫馬正男氏にいろいろお話を伺うことにしました。


夫馬氏は1971年に上京。岸田劉生や佐伯祐三などのコレクターのお兄様の影響を受け、 銀座の画廊でアルバイト。当時は絵画ブームで、1年間で絵の値段が10倍に跳ね上がるという状況を経験。やがて、1973年にパリに10か月留学。マーグ・ギャラリーなどの画廊や美術館を訪れ、ジャコメッティやピカソの作品を目にし、グラン・パレでデュビュッフェ、国立近代美術館でベーコンの3部作、ジュー・ド・ポームでスーチンなどの作品に触れ、ヨーロッパのアートシーンを目の当たりにし、これらの経験が夫馬氏のギャラリストとしての道を決定づけたのかもしれません。


そして、1982年に独立して、湯島に「文京アート」を創業。1988年に銀座に開廊、2000年に八重洲に移転。2010年に、今のFuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art」と名を改め、現住所の八丁堀に移転しました。ギャラリーはビルの9階にあります。


「ここは平面も立体も飾れる天井の高いスペースが気に入りました。日本の現代アートは、戦後美術ですね。戦争が終わって解放されて、時代の批判や社会風刺などが作家のテーマになり、強烈な作品が生まれました。私はそうした戦後美術の作家の作品を中心にコレクションし、ギャラリーで繰り返し展覧会を開き、美術館に貸し出したりしています」と、夫馬氏は丁寧に説明しながら、中村宏や小山田二郎、池田龍雄、鶴岡政男、そして、平賀敬や金子国義などの作品を見せてくださいました。


それらの作品は、どれも社会を反映したメッセージの込められた作品が多く、ひとつひとつの作品にインパクトがあり、目が釘付けになります。色彩も美しく、日本の戦後の作家たちのレベルの高さが伺え、今やこれらの作品は価値が上がり、海外からの取引も多いそう。


フマコンテンポラリートーキョーでは、これらの作品をベースに、若手アーティストたちの展覧会にも積極的に力を入れています。私がこのギャラリーを訪れるきっかけになった枝史織、そして、中里勇太や金巻芳俊といったアーティストたちの作品も、それぞれ高い技術力とぶれないコンセプト、個性があり、新世代の作家たちがメキメキと力をつけています。今後の展覧会も楽しみに、これからも足しげく通いたいと思っているギャラリーのひとつです。


Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art

104-0042 東京都中央区入船1-3-9 長崎ビル9F

03-6280-3717

http://bunkyo-art.co.jp/index.html


次の展覧会は、

西岡良太展「無生物の群像」

8月30日~9月10日


f0166173_01493767.jpg

f0166173_01502481.jpg
f0166173_01503995.jpg
f0166173_01504677.jpg
f0166173_01512139.jpg






by madamemariko | 2016-08-30 02:13 | 美術散歩

「アライア展」 

皆様、お元気ですか?パリはすっかり秋の気配が漂う今日この頃です。今日はエルメス本店で、新作メンズ腕時計の発表会に取材に行ってきました。かなりレアなものをいろいろ拝見してきました♪

**********
f0166173_1044932.jpg


 「イヴ・サン・ローラン亡き後、フランスのモードの歴史を背負っていくのは、アズディン・アライアだ」。ある友人の言葉にハッとした。確かに、美術に造詣の深かったサン・ローランと同じように、アライアはチュニジアのボザールで彫刻を専攻した後、パリに出てきてモードに転向し、80年代にはボディコンシャスのスタイルで一世を風靡。その後も普遍的なスタイルで洋服作りを続け、アートへの関心も高く、アートコレクションもしている。フランスでの評価は高い。

 折りしも、長い間改装工事をしていたガリエラ・モード博物館がリニューアル・オープンし、最初の特別展が「アライア展」という。9月28日の初日にさっそく見学に行ってきた。優美なガリエラ宮のなかに、過去に制作した70点のアライアのイブニングドレスやワンピース、コートなどが展示され、モード関係者や中年の人々、若いパリジェンヌ、パリジャンたちが熱心に覗き込んでいる。

 構築的とも言えるアライアの服は、カッティングも素晴らしく、その流れるようなラインや異素材の組み合わせが見事で、単なる服を超えた作品になっている。人間の身体が持つしなやかなラインに合わせ、ある意味崇高ですらある。ただ、平面に設置した服は、鑑賞者が多いと見づらく、照明もいまいち。おそらく誰もいない静謐な空間で見たら、もっとアライアの凄さに接することができたのにと思い、ちょっとがっかりした気になって、外に出た。

 出ると矢印があり、向かい側のパリ市近代美術館のマチスの部屋へとの表示があり、それに誘われるように、道路を渡って近代美術館に赴いた。あまりこれに気がついている人は少ないようで、入るとまたアライア展の表示が出ている。ドアを開けると、なんとマチスのブルーグレー色の「未完のダンス」の大きな壁画の前に、アライアの黒の素晴らしいロングドレスが呼応するように展示され、私はあまりの美しさにひとり立ちすくんでしまった。反対側の壁に掛かるダニエル・ビュランのカラフルなストライプの作品もその部屋のアクセントに一役かっている。そして、さらに奥に進むと、色彩豊かなマチスの「パリのダンス」の前に、その絵に合わせてアライアが特別に今回制作したというミニドレスが3体飾られ、これも絵画的で良かった。

 今回のアライア展で、パリ市近代美術館がガリエラとコラボレーションしていることがわかり、これを見逃さずに両方を見られて、本当に良かったと思う。パリのアートシーンは奥が深い。実はこのパリ市近代美術館、ほかの広い展示室が延々と続き、所蔵作品の充実度はかなりレベルが高い。私のお気に入りのジョルジュ・ルオーのアクリル画や陶芸も多数所蔵していることに気づき、この日は心満ち足りた気分で帰路に着いた。アライア展、ぜひおすすめの展覧会だ。


「Alaia」
9月28日~2014年1月26日
Palais Galliera /Musée d'Art Moderne de la Ville de Paris,Salle Matisse)




人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
by madamemariko | 2013-10-02 10:50 | 美術散歩

「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」  

                                  
日本の夏の猛暑を経験し、パリに戻ってきました。こちらはさらっと爽やかで過ごしやすいこと。今日はひさしぶりに、日曜のマルシェに買い物に行ってきました。美味しそうなメロンや平べったい桃など、いろいろなフルーツをカゴいっぱいに買ってきました♪

**********
f0166173_20493750.jpg


 帰国中に、汐留ミュージアムにおじゃましてきた。9月7日から「モローとルオー」展があるのを知っていたが、8月末にパリ戻りの予定になっていたので、展覧会は残念ながら拝見できないので、せめて学芸員の方にお話が聞けないかと思い、おじゃましたのだ。

 大げさな言い方になるが、ルオーと私の出会いは2010年に遡る。エールフランス機内誌の「ボンヴォヤージュ」の巻頭特集で、「魂の画家、ジョルジュ・ルオー」を取材執筆担当させていただき、ルオーのアトリエが今も残るルオー家の人々が活動するルオー財団におじゃましたり、ルオーの師匠であったモローの美術館に出向いたり、ルオーの作品を多数扱い、ルオー家と深く交流のあるパリのギャラリー、「ギャルリーためなが」や「ギャルリー吉井」のオーナーにお会いしお話を伺ったりし、ルオーの人と作品に触れているうちに、どんどんルオーの作品に魅了されていったのだ。

 いろいろ調べているうちに、ルオーとマチスはボザールで同じクラスで、しかも当時の担当教授がモローだったということを知った。ルオー財団には当時の資料や写真が膨大にあり、まだまだ整理されていないルオーとマチスの書簡が多数あり、ルオーとマチスが単なるクラスメートだっただけではなく、卒業してからもお互いに尊敬しあい、心通じる真の意味での友人だったことがわかったりと、取材を続けながら知った事実に驚愕した。

 パリのギャラリーやポンピドゥーの国立近代美術館で、ルオーの作品を観るたびに、ルオーの作品が私の心に響いてくる。ルオーの作品は、マチスほどには世界的には知られていない。ルオーはひとつの派に所属しなかったので、しばしば「孤高の画家」と称されることが多い。それはそれで潔くていいと思うが、彼の作品の素晴らしさについては、もっと世界的レベルでしらしめたい。「聖書の風景」や「受難」「流れる星のサーカス」「悪の華」など、ステンドグラスのような深い色を湛えた、詩的で人々の心に沁みてくる繊細な色彩と表現の絵画の素晴らしさを、日本の方にももっと知っていただきたいと願う。

 今回の展覧会は、モローとルオーの深い関係と精神的な絆を紹介し、ふたりの素晴らしい芸術性を浮き彫りにするまたとない展覧会になるだろう。学芸員の方はさすがに長年研究されているだけあり、話は尽きなく、後ろ髪をひかれる思いでミュージアムを後にし、私はこの展覧会のヨーロッパでの巡回を心待ちにすることにした。

「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」
9月7日~12月10日
パナソニック汐留ミュージアム
http://panasonic.co.jp/es/news/2013/1305/1305-01.html




人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
by madamemariko | 2013-09-08 20:57 | 美術散歩

ルーヴル美術館

皆様、お元気ですか?
しばらくブログをご無沙汰しています。
パリはようやく初夏の陽気と思って喜んでいたら、昨日の夕方から雨が降り、パリにちゃんとした夏はやって来るのでしょうか。

先日ルーヴル美術館の取材に行ってきました。
現在はその記事やほかの記事の準備中。
ランスのルーヴル分館にも行き、そちらの情報もお届けしたいのですが、いましばらくお待ちくださいませ!
途中ご報告でした。
f0166173_15392832.jpg
f0166173_15395540.jpg
f0166173_15402722.jpg
f0166173_15423030.jpg
f0166173_15455193.jpg

by madamemariko | 2013-06-09 15:46 | 美術散歩

「ジル・ゴリチ展覧会@バスク」Gorriti        

f0166173_6355117.jpg
こんにちは。
またまた、ご無沙汰してしまいました。日本で暑い夏を過ごした後は、南仏やアルザスの美しい町や村を訪れ、毎日旅の生活が続いたかと思えば、パリでアンティークの祭典のビエンナーレ取材をしたり、名門のハイジュエラーの取材をしたり、あっという間に時が過ぎていきました。秋は美食の季節。セップ茸や栗など食材が楽しい時期ですね♪

******************

 今夏、フランス画壇で活躍する画家、ジル・ゴリチの個展が、彼の本拠地、バスクのゲッタリー(ビアリッツの隣の町)の美術館で開催されたので、バカンスを兼ねて拝見してきた。ゴリチ氏には、日本の雑誌の取材で何度かご登場いただき、それ以来のおつきあいだ。パリとバスクにアトリエを持ち、ふたつのアトリエを行き来しながら、絵を描かれている。とてもインテリな方で、美術のことから音楽や食のことなど何でもよく知っている。

 パリのアトリエは何度かおじゃましたことがあるが、今回は初めてゲッタリーのアトリエを訪問。バスク建築の素晴らしいお宅で、そのなかにアトリエがあり、ゴリチらしい微妙なニュアンスの色に満ちた出来立ての作品が何枚も飾ってあり、それを眺めているだけで感慨深かった。

 
 展覧会はアトリエからほど近いゲッタリー美術館で行われ、なんとギャルリーためながの為永夫妻もかけつけて見え、地元のファンの人に囲まれ、大盛況。具象と抽象の狭間を揺れる画家の寡黙な精神性が感じられ、その複雑な美しい色彩のなかに、画家の心の響きが見え隠れする。蝶や花、赤いテーブルクロス、漆黒の壁…なにげないものが、なにげないものではなくなっていた。




人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
f0166173_6361380.jpg
f0166173_636332.jpg
f0166173_6365229.jpg
f0166173_6371070.jpg
f0166173_6373485.jpg
f0166173_6375121.jpg
f0166173_6381174.jpg
f0166173_638261.jpg
f0166173_6395979.jpg

by madamemariko | 2012-10-23 06:46 | 美術散歩

ジョルジュ・ルオー展「ユビュおやじの世界」

こんにちは。
5月はあっという間に過ぎ、もう6月に入ってしまいました。パリは例年になくいいお天気で、毎日初夏のような爽やかさ。カフェテラスはいつも夏の陽気を楽しむ人々でいっぱいです。でも、そろそろ各地で水不足の心配が。いつまでも晴れていて欲しい気分ですが、どうなることやら..。

***********************************

 パリの吉井画廊で、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)が描いた「ユビュおやじの世界」という展覧会を開催中だ。ジョルジュ・ルオーと言えば、「ミセレーレ」や「悪の華」「受難」といったキリスト教的な題材が有名ではあるが、私はサーカスの道化師や踊り子、娼婦などを描いた作品も好きだ。これらの絵を見ていると、絶望と生きる力のようなものが交錯しているのが見て取れ、人々の悲しみや怒りが伝わり、ひとりの画家の愛情ある鋭くも優しいまなざしが胸に響いてくるのである。私はふと自分の心が晴れないとき、これらの絵を見ると不思議に勇気づけられる。

 「ユビュのおやじ」を主人公とした絵をルオーに依頼したのは、セザンヌやルノワールらを抱えていた大画商のヴォラールだ。ヴォラールは自分が書いた本の挿絵として、ルオーにユビュおやじを描かせようとし、交換条件としてルオーが長年切望してきた版画集「ミセレーレ」の出版を約束。ルオーは思いのほか、このユビュおやじに没頭。ルオーはヴォラールから依頼された黒人や幻想的な動物を墨絵で自由な筆遣いで描き、後のルオーの作品に大きく影響を与えていったと改めて再評価されている。

 会期は実は6月6日まで。ブログに掲載するのが遅くなってしまったのが残念だが、私はこの展覧会をオープニングから3回も鑑賞しに行った。色遣いやタッチも含め、やはりルオーにしか描けない素晴らしいシリーズだな〜と見入ってしまった。

f0166173_4453278.jpg

f0166173_4465953.jpg

f0166173_4591453.jpg

f0166173_503491.jpg

f0166173_521570.jpg


“Au Pays du Pere Ubu” Georges ROUAULT
Galerie YOSHII 6/6まで
8 Av. Matignon 75008 Paris
tel:01-43-59-73-46



人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
by madamemariko | 2011-06-06 05:05 | 美術散歩

「ルドン展」@グラン・パレ

こんにちは。
今週27日から、パリの「ギャルリーためなが」で、日本人写真家10名によるチャリティの写真展が開催されます。詳細はこちらから→
http://www.tamenaga-exhibition.com/2011_gtf_caritative/fr/index.html
私が仕事でご一緒する、パリで活躍する写真家の方々も多数参加。みんなの気持ちが、いろいろな形で日本の被災者の方々に届くといいなと思っています。

*************************************

 先日、用事でギャルリーためながにおじゃましたときに、フランスの画家、オディロン・ルドンの絵を2点見せていただいた。溜め息が出るほど素晴らしい作品。奥行きのあるパステルな色調がなんとも言えず、ちょっと忘れがたいものだった。そこで、さっそくグラン・パレで開催中の「ルドン展」に出かけてきた。
 美術鑑賞は、見学者の足が少し途絶える夕方に行くに限る。ルドンは1840年にボルドーで生まれ、印象派の画家たちと同世代だが、ルドンは幻想の世界を描き、独自の道を歩んでいたという。今回の展覧会では、170点の油彩、水彩、パステルのほかに、木炭画やリトグラフなどもかなりの見応えがあり、ルドンの才能をあらためて認識できる充実した内容。エドガー・アラン・ポーやフローベールなどの作品から影響を受けたものや50歳を過ぎてから描いたパステル画など、どれもそれぞれに独創性が感じられる。陽光が燦々と降りそそぐ初夏の展覧会にふさわしい内容だった。

f0166173_945235.jpg

f0166173_93047.jpg

f0166173_859230.jpg



Grand Palais, Galerie Nationales「Odilon Redon Prince du Reve」
3/23〜6/20



人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
by madamemariko | 2011-04-27 09:14 | 美術散歩

「ヴードゥーVaudou展」@カルティエ財団

f0166173_4393786.jpg

こんにちは。
日本の各地で桜が咲いたというニュースが次々と入ってきますが、パリも街のあちこちで八重の桜が咲いています。季節はどんどん変わり、そして日本の状況も急速に変わっていっています。まだまだ桜を余裕の目で眺められる心境ではないですが、花や植物同様、私たちも力強く生きていかなくてはならないな〜と、パリという異邦の空の下で、日本の復興のことを考えているひとりです。

********************************

 パリのカルティエ財団に、今年の春夏の展覧会「ヴードゥーVaudou展 」のオープニング・レセプションに出かけた。ヴードゥー教はカリブのハイチで発展し、西アフリカのベナンやコンゴなどの各地で伝承され、今も息づく民間信仰。カルティエ財団はプリミティブ・アートの最たるものと捉えるヴードゥー教の像を展示し、その造形的な魅力や宗教的な意味合い、歴史などを紹介しつつ、これらのアートをコンテンポラリー・アートのように蘇らせた。約100体の像は、主に冒険家でありヴードゥーの像のコレクターであった故ジャック・ケルシャシュ氏の所蔵品だったもの。
 
 私たちには日頃なじみのないヴードゥー教。ヴードゥーと言えば、どちらかと言えば、マイナーな怖い呪い的な意味合いさえ感じられるので、果たしてこの展覧会の企画はどうなのだろうと、興味を持って出かけた。ところが、薄曇りの日曜日、会場に入ったら熱心に鑑賞するビジターの多いこと!老年のカップルからパリジェンヌ、アーティスト、若い子供まで幅広い層の人々が、カタログを片手に熱心にケースに入った像を覗きこんでいる。そして、実際に目にする像は、ある意味素朴で造形的に優れ、人間の普遍的な原始の心に回帰するように感じられる。1階の自然光の入るスペースには、家の戸口の前で悪霊を妨げる精霊の像が、地下の暗いスペースにも神秘的な像が80体くらい整然と並ぶ。

 そして、もうひとつ注目したいのは、この展覧会場の正面の大型ポスターや豪華版のカタログなどの写真を、カルティエ財団がパリ在住の写真家、小野祐次氏に全面的に依頼していること。ヴードゥーの像の数々が、まるで崇高な仏像写真のように撮られ、他者には真似のできないクオリティの高い仕上がりになっている。日頃から精力的に作品づくりを続ける小野氏の写真の美しさが、ここでも花開いていた。

Fondation Cartier pour l’art contemporain
「Vaudou」 261 Bd Raspail 75014 Paris
4/5〜9/25
http://fondation.cartier.com/



人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。

f0166173_14463485.jpg

f0166173_14483572.jpg

f0166173_14442798.jpg

by madamemariko | 2011-04-06 09:16 | 美術散歩

「SUGIMOTO」@Gagosian Gallery

f0166173_13511567.jpg
こんにちは。
1月にブログを書いて以来、ずっと沈黙した形なってしまいました。3月11日に地震が発生して以来、次から次へ押し寄せる”国難”で、パリという安全な場所にいながらも、日々入ってくるニュースや情報を体全身で受けとめ、精神的にまいってしまったというのが正直なところです。今回の震災で被災された方々には、本当にご冥福をお祈りいたします。そして、避難されている方々やまだ安否が気遣われている方々が、一日でも早く安心して暮らせる日が来ることを心よりお祈り申し上げます。

******************************************

 パリの8区、一流のギャラリーが点在するマティニョン界隈に、NYの気鋭ギャラリー、「ガゴシアン・ギャラリー」が、昨年10月にオープン。告知が遅くなってしまったが、2月11日〜3月25日まで、現代美術家の杉本博司の「ロダンーSUGIMOTO」展が開催されていた。
 私は、杉本博司の写真が好きだ。杉本氏が写真にとどまらず、建築や文楽などいろいろな分野で世界的に活躍されていることは知っているが、私のなかでは杉本博司は写真がいちばんである。とくに好きなのは、「シースケープ」(海景)。これほどコンセプトが明解で、シンプルで美しいシリーズもない。日本が世界に誇れる写真家だと思う。このシリーズを見るたびに、「ああ、美しい〜」と溜め息がもれてしまい、その才能に目眩とも嫉妬ともいえるものが私のなかで錯綜する。
 今回のガゴシアンでの展示は、杉本博司がモードのコレクションを彫刻として撮影した「スタイライズド・スカルプチャー」のシリーズとロダンの彫刻を対比させた、ある意味パリらしさの出た大胆な企画。 杉本博司には、今後もずっと写真を撮り続けて欲しい。

Gagosian Gallery
4 rue de Ponthieu 75008 Paris




人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
f0166173_13262951.jpg
f0166173_13244516.jpg
f0166173_13225023.jpg
f0166173_1320248.jpg

by madamemariko | 2011-03-27 13:30 | 美術散歩

「Boccara」

こんにちは。
パリは細雪が降り、寒い日が続いています。フランス各地ではもっと寒い地域も多く、最近のニュースの話題はまず寒さです。郊外では積雪も見られ、本格的な冬のシーズンを迎えています♪

******************************
 シャンゼリゼのマティニョン通りに、タピ(カーペット)とタピスリーを専門に扱うギャラリー「ボッカラ」がある。先日、気になって思い切って中に入ってみたところ、黒の壁に黒のモザイクタイルの床のなかなかシックなインテリア。担当のロドリグ氏にお話を伺ってみたところ、掛けてあるタピスリーは16世紀のものからル・コルビュジェのものまであり面白い。
 さらに奥の間に通されると、バザルリやザトキンのものが掛けてあり、ところどころにセザールのオブジェなどがアクセントのように飾られている。なかなか気の利いた取り扱いだと思う。さて、今後どんな展開になっていくのだろうか。しばらく静観したい。

Boccara
4 Av.Matignon 75008 Paris




人気ブログランキングへ

ランキングへ応援クリックお願いしま〜す。
f0166173_195036.jpg
f0166173_19503373.jpg
f0166173_19505521.jpg
f0166173_19512195.jpg
f0166173_19515970.jpg
f0166173_19524594.jpg

by madamemariko | 2010-12-02 09:16 | 美術散歩