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寒中お見舞い申し上げます。
毎日寒い日が続きますが、みなさま、お元気でしょうか?
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年は自分でもお節料理を作りましたが、料理家の長澤恵里さんから、「お節を食す会」へのお招きを受け、それは嬉しい!と喜びいさんで、世田谷松原のお宅におじゃましてきました。恵里さんのことは、このブログで以前に「長澤恵里さんのお出汁レッスン@パリ」でご紹介したことがあるのですが、とにかく素材へのこだわりが半端なく、彼女が作るお節なら天下一品と、それはそれは楽しみに伺ったのです。
お節の内容は、約40種類。黒豆、数の子、田作り、叩き牛蒡、錦玉子、伊達巻、栗きんとん、柿膾(なます)、蛤ぬた、三色団子、鮑味噌煮、鴨ロース、菊花和え、銀杏松葉刺し、紅梅長芋、海老旨煮、生麩含め煮、穴子鳴門巻、鰤幽庵焼、鶏松風、筑前煮、御雑煮・・・と、すべてが丁寧な手作り。
陶器や漆器などテーブルを彩るテーブルウエアもひとつひとつ凝っていて、お花もすべて自分でアレンジされ、夢のようなお節が並んでいました。ホストは一流企業にお勤めのご主人で、NYや香港などの外国暮らしも長く、サービスも手際よく、お料理に合わせて、獺祭のスパークリングや日本酒、お茶などをサーブしてくださいます。
丹波篠山の大粒黒豆「特上飛切」を使った黒豆は、3日がかりで仕上げたという上品でふっくらした味わい。鱧とグチのすり身を使った甘さ控えめの伊達巻、種子島の安納芋と国産の栗を用いた栗きんとん、三浦大根と出雲の特産、干し柿「西条柿」で甘味を出した柿膾、海老団子、蓮入り帆立団子、鶏団子の三色団子、青森産鮑を八丁味噌で仕上げた鮑味噌煮、くわいの素揚げなど、どれから食べようかと迷ってしまうほど、豪華な内容。
それに、真昆布と本枯れ節でお出汁をとり、高山の餅店から取り寄せた角餅、阿波尾鶏もも肉、熊本産有頭車海老の入ったお雑煮も薄口で、深い味わい。年末から何日もかけて仕込んだお節の数々に、幸せいっぱいになります。「作らなかったのは蒲鉾と生麩だけよ」とほほ笑む恵里さん。紅白の蒲鉾は、小田原籠清から取り寄せた最高級品の「掌(たなごころ)」で、歯ごたえのある蒲鉾は全行程を職人が1本ずつ手作りしたものだそう。
最後に、京都からお取り寄せの末富の「花びら餅」を頂き、なんとも至福の時間。取り寄せた食材の話、お料理の作り方を聞くのも楽しく、どれも勉強になり、あっという間に時間が過ぎ、素晴らしいお節体験をさせていただきました。
みなさま、お元気でしょうか?
私は7月末にパリから帰国して、ずっとバタバタしていたのですが、お盆が終わってから、夏の疲れが出たのでしょうか、ちょっとダウンしていました。
最近は日本にいる時間も多くなったので、日本の現代アート事情に興味を持ち、以前に展覧会でおじゃました八丁堀にあるコンテンポラリー・ギャラリー「Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art」のオーナー、夫馬正男氏にいろいろお話を伺うことにしました。
夫馬氏は1971年に上京。岸田劉生や佐伯祐三などのコレクターのお兄様の影響を受け、 銀座の画廊でアルバイト。当時は絵画ブームで、1年間で絵の値段が10倍に跳ね上がるという状況を経験。やがて、1973年にパリに10か月留学。マーグ・ギャラリーなどの画廊や美術館を訪れ、ジャコメッティやピカソの作品を目にし、グラン・パレでデュビュッフェ、国立近代美術館でベーコンの3部作、ジュー・ド・ポームでスーチンなどの作品に触れ、ヨーロッパのアートシーンを目の当たりにし、これらの経験が夫馬氏のギャラリストとしての道を決定づけたのかもしれません。
そして、1982年に独立して、湯島に「文京アート」を創業。1988年に銀座に開廊、2000年に八重洲に移転。2010年に、今の「Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art」と名を改め、現住所の八丁堀に移転しました。ギャラリーはビルの9階にあります。
「ここは平面も立体も飾れる天井の高いスペースが気に入りました。日本の現代アートは、戦後美術ですね。戦争が終わって解放されて、時代の批判や社会風刺などが作家のテーマになり、強烈な作品が生まれました。私はそうした戦後美術の作家の作品を中心にコレクションし、ギャラリーで繰り返し展覧会を開き、美術館に貸し出したりしています」と、夫馬氏は丁寧に説明しながら、中村宏や小山田二郎、池田龍雄、鶴岡政男、そして、平賀敬や金子国義などの作品を見せてくださいました。
それらの作品は、どれも社会を反映したメッセージの込められた作品が多く、ひとつひとつの作品にインパクトがあり、目が釘付けになります。色彩も美しく、日本の戦後の作家たちのレベルの高さが伺え、今やこれらの作品は価値が上がり、海外からの取引も多いそう。
フマコンテンポラリートーキョーでは、これらの作品をベースに、若手アーティストたちの展覧会にも積極的に力を入れています。私がこのギャラリーを訪れるきっかけになった枝史織、そして、中里勇太や金巻芳俊といったアーティストたちの作品も、それぞれ高い技術力とぶれないコンセプト、個性があり、新世代の作家たちがメキメキと力をつけています。今後の展覧会も楽しみに、これからも足しげく通いたいと思っているギャラリーのひとつです。
Fuma Contemporary Tokyo/Bunkyo Art
〒104-0042 東京都中央区入船1-3-9 長崎ビル9F
☎03-6280-3717
http://bunkyo-art.co.jp/index.html
次の展覧会は、
西岡良太展「無生物の群像」
8月30日~9月10日
こんにちは。
またまたご無沙汰してしまいましたが、みなさまお元気でしょうか?
毎日、オリンピックや甲子園高校野球の試合に熱狂し、それが終わったと思ったら、関東に台風がやって来て、土砂災害などがあり、毎日びっくりな日々を過ごしています。
最近はパリと日本を行き来する生活を送っていますので、それぞれの場所で気になった話題をご紹介していきたいと思います。
7月にパリにいた時に、PRの玲子さんのお誘いで、7区にあるイタリアン、「L'Inconnu」(ランコニュ)に行ってきました。ここは、日本人の檜垣浩二(ひがき こうじ)シェフが昨年末にオープンしたお店。檜垣シェフは、パリで初めて日本人で2ツ星を獲得した「Passage 53」のスーシェフだった方で、別のお友達から檜垣シェフの素晴らしさを聞いていたので、実は2月にさっそく訪問していました。その時にいただいた黒トリュフのパスタが忘れられないほど美味しくて、また行きたいな~と思っていたところへの玲子さんからのお誘い。玲子さんはPR会社で、シャンパン・メゾンなどいくつかのブランドを担当しているのですが、この ランコニュも担当しているとのこと!
PRの方と一緒に伺えば、檜垣シェフやシェフをサポートする奥様やソムリエの方にもご紹介いただけるとあり、さらに楽しみが倍増。夏のメニューは涼やかで、トマトと桃の冷製のアミューズ・ブッシュに始まり、サバのカルパッチョ(サバと言っても、これが見た目グリーンのおしゃれな盛り付け!)、自家製フォッカチャ、シェフのサービスの前菜が続き、メインはホロホロ鳥のコトレッタ、子羊の煮込みのパスタ、デザート、カフェと続き、それがどれも洗練されていて、日本の割烹を彷彿させる、下ごしらえに時間をかけた細やかなお料理の数々。もうイタリアンを超えた創作料理になっていて、以前に伺った時よりさらに磨きのかかった印象を受けました。
シャイな笑顔で話す檜垣シェフは、大阪で日本料理の修行をし、やがて、イタリアンに魅せられ、イタリアで修業。そして、いったん日本に戻って仕事をした後、渡仏。パリの佐藤伸一シェフの「Passage 53」でスーシェフをされていたというので、日本料理やフレンチの繊細なテクニックも駆使。チャーミングな奥様やシャンパンやワインをサーブしてくださるソムリエの方との会話も楽しく、夏の美しいランチを賞味させていただきました。ここは何度となく通いたいお店。檜垣シェフのたゆまぬ努力とセンスが、それぞれのお料理に見事に表現されていて、今後が益々楽しみなレストランです。
RestaurantL'Inconnu
4 rue Pierre Leroux 75007 Paris
☎01-53-69-06-03
ランチは40ユーロから、ディナーは50ユーロ~。
http://restaurant-linconnu.fr/
8月7日~29日まで夏季休暇で、30日の夜から再開されます。
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